人気のない回廊。 夜風が、心地よい沈黙を包みこむ。 「……今日は、あまり楽しくなかったようだな」 その言葉に、セレナはふっと息をこぼした。 「……はい。でも、これも必要なことなんだと思います。私が“番”なら、皆に信頼されるように、ならなきゃいけないから」 小さく、でも芯のある声だった。 アグレイスは立ち止まり、そっとセレナの手をとった。 「無理に背伸びしなくていい。わたしは、そなたが“そなた”でいてくれるだけでいい」 その言葉に、セレナの目が潤んだ。