夜がすっかり更けて、神殿の回廊には人気もなくなった。 セレナは、自室の庭に続く小さな縁側で、そっと星を眺めていた。 さっきまでの出来事が、まだ胸に静かに残っている。 (怖くなかったと言えば、嘘になる。でも……) 助けた少年の手の温もり。 「ありがとう」と泣きながら笑ってくれた顔。 あの瞬間、自分が“誰かの力”になれた気がした。 ――もう、ただ守られるだけの存在でいたくない。