事故は大事には至らず、少年もすぐに回復へ向かった。
だが、その知らせを聞き――アグレイスは自ら、神殿へと駆けつけていた。
「セレナ!」
鋭くも、焦燥をにじませた声。
振り向いたセレナは、その顔を見るなり、抑えていた感情があふれ出した。
「……アグレイスさま……!」
こらえきれず、彼に抱きついてしまった。
「怖くなかったわけじゃ……ない。でも、わたし夢中で……っ」
「……よく頑張った。お前は、立派だった。わたしは――そなたを、誇りに思う」
アグレイスの手が、セレナの背をゆっくりと撫でる。
その温もりに、安心したのか涙が止まらなかった。



