蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




「大丈夫……?!」


 倒れていたのは、まだ幼い薬師見習いの少年だった。
 苦しげな呼吸。汗に濡れた額。

 セレナはひざをつき、少年の身体をそっと抱き起こした。
 まだ熱がある。でも、意識は……かすかに戻ってきている。


「しっかりして。大丈夫。こわくないよ」


 震える手をとり、額をぬぐい、子どもを守るように抱えたままセレナは叫んだ。


「水と、清気の香! 早く!」


 神殿の者たちが急ぎ動き出す。
 その中で、セレナは逃げなかった。煙にむせながらも、少年のそばを離れなかった。