「……セレナ」
「お待たせしました。変じゃ……ないですか?」
「変、など。そなたは、今日という夜のために生まれたようだ」
その言葉に、セレナは恥ずかしさを堪えながらも、そっと目を合わせた。
――ふたりの距離が、たしかに少し近づいた。
祭の儀式が始まり、神官たちの祈りの声が静かに広場に響いた。
セレナとアグレイスは神殿中央の祭壇に並び、民と星に祈りを捧げる。
夜空を見上げると、星がひとつ、またひとつと灯っていく。
まるで神の応えのように、銀の光が空に降り注ぎ始めていた。
「……きれい」
セレナの呟きに、アグレイスはそっと隣に立ち、手を伸ばした。
「セレナ。手を」
驚きながらも、セレナはおずおずと手を差し出した。
アグレイスの手は温かくて、指先まで心臓の鼓動が伝わりそうだった。
「今夜は、神も民も、そなたを見ている。そして、わたしも」
その言葉に、胸が高鳴る。
星空の下で、ふたりはしっかりと手をつないだ。



