蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜



 だから彼女は、ほんの少しだけ勇気を出して、そっと言葉を紡ぐ。


 「……あなたの隣にいると、心が穏やかになります。こんな気持ち、初めてです」

 「それは、恋かもしれぬな」


 不意に返されたその言葉に、セレナの心臓が跳ねた。

 けれど、アグレイスの目には冗談の色はなく、真っ直ぐに自分を見ていた。


 「そなたが望むなら、急がぬ。ただ、わたしは……そなたを、大切に思っている。それだけは、偽らぬ」

 「……はい」


 胸の奥が熱くなって、セレナは思わずそっとアグレイスの袖をつかんだ。

 それが、今日の彼女にできる精一杯の“好き”のかたちだった。