神殿は思っていた以上に広く、石造りの廊下がいくつも分岐している。
だが、内装はどこも静謐で、清らかさに満ちていた。
「……まるで、心が洗われるようです」
「そう言っていただけて嬉しいです。神獣さまの加護が、ここには常に満ちていますから」
リュシエルの言葉に、セレナは自然とアグレイスを思い出す。
あの夜、彼に抱かれた時に感じた、深くて温かい“何か”――あれは確かに、神の加護そのものだったのかもしれない。
やがて、神殿中央に位置する回廊にたどり着いた。
そこには、アグレイスがいた。
白銀の長髪を風に揺らし、昼の陽を浴びる姿は、まさに“神獣”の名にふさわしい威厳と気高さを纏っていた。



