蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 (どうしてこんなにも、安心するのだろう……)


 見つめ返すと、アグレイスは変わらず穏やかな眼差しを向けてくれていた。
 強さの中に、限りないやさしさを湛えたその瞳は――まるで、夜空の深い蒼のようだった。


 「そなたが傍にいてくれるなら、わたしは、どんな闇でも恐れぬ」

 「……アグレイス」

 「そなたが震えるなら、抱きしめる。悲しむなら、手を伸ばす。……そうして生きていきたい」



 そう囁く声は低く、けれどどこまでも真摯だった。

 セレナの目元に、光がにじんだ。