蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 その涙を、アグレイスの指先がそっと拭う。

 その手つきはどこまでも優しくて、まるで壊れものを扱うようだった。


「……泣かせたくない。笑ってほしい。そなたの涙は、美しすぎて哀しい」

「……ずるい。そんなふうに言われたら……」


 セレナは、たまらず顔を伏せた。
 こんなに胸がいっぱいになるのは、きっと初めてだった。

 セレナはアグレイスの指先が触れた頬を、そっと押さえた。
 その手の温もりが、心の奥まで染み込んでくるようだった。

 彼のまなざしは変わらずまっすぐで、どこか切なげで――それでも、揺るぎないものを秘めていた。