セレナは静かに手を伸ばし、彼の手を握り返す。
「……じゃあ、行きましょう。すべての答えを迎えに」
夕暮れが、王都の空を茜に染めていた。
その下で、王と番妃は新たな戦の扉を開こうとしていた――
北境の封域へと至る山脈を越えた先、かつて“神域”と呼ばれた地――その中心で、空が裂けていた。
魔力と空間が歪み、天と地が繋がるその光景は、まるで「世界そのものが何かを産もうとしている」かのようだった。
セレナは精霊たちと共鳴しながら、異変の核心を見極めていく。
風の精霊は警告を囁き、火の精霊は怒りに震え、水はただ静かに涙を流した。
そして彼女は気づく――
そこにあったのは、魔の力ではなかった。
それは“人々の記憶”だった。



