「あなたたちが恐れているのは、変化そのものです。
でも、今のままでは――国は、世界の波に呑まれていきます。
魔族との緊張、精霊との均衡、王都と周辺領地との格差。
このまま“同じことを繰り返す”だけでは、未来は手に入りません」
その言葉には、確かな意志と、凛とした強さがあった。
アグレイスが口を開く。
「この国には、“変わる力”がある。
古い制度を守るだけが忠誠ではない。――未来のために声を上げ、共に形をつくることが、本当の忠義だと、私は信じている」
静寂の中、一人の若い議員が立ち上がった。
まだ二十代半ばほどの青年で、代々地方領主の家系を継いだばかりの者だった。
「……私は、セレナ王妃の言葉に希望を感じました。
この国が、恐怖ではなく信頼によって統治される未来を――見てみたいと思います」
その言葉に、少しずつ立ち上がる者たちが出始めた。
若い世代、地方の新興領主、一部の魔術師……少数ではあったが、その“動き”が場を変える兆しとなった。
そして、魔術院の長老ルドルフが再び立つ。



