蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 「長らく王家に伝わってきた“番の制度”……それは、力ある妃を選び、その魔力で王家の血を強固にするためのものであったと語られてきた。
 だが、それは表向きの理屈にすぎない」


 ざわっ、とざわめきが広がる。
 一部の老臣は顔をしかめ、魔術院の代表は思案げに眉をひそめた。

 アグレイスは続ける。


 「本来、“番”とは、ただの魔力の器ではない。
 この世界の根源と繋がり、世界を調律する“精霊の番(つがい)”として選ばれた存在――この国の均衡を保つために必要不可欠な、もうひとりの守護者だ」


 セレナは、その場にいる者すべての視線を一身に受けながら、静かに前へ歩み出た。


 「……私は、“番”として選ばれました。
 けれど、あなたたちが信じてきた“支配の象徴”ではありません。
 私は、王と共にこの国を治める“誓いの伴侶”です。そして、この国の未来と繋がる存在です」


 誰もが息を呑むように黙り込む。

 その沈黙の中、魔術院長であるルドルフが席を立った。