蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 「もはや、古の契約に頼るだけでは国を守れない。
 力で支配する王ではなく、民と共に生きる王族として――新たな契約を示さなくては」


 アグレイスの言葉に、セレナは頷く。


 (私は“番”としてではなく、“共に治める者”として彼と立つ。これは、ふたりで築く新たな統治の形)


 その時、王宮の塔に鳴り響く鐘の音が空を震わせた。

 ――王国会議の招集。

 今日、セレナとアグレイスはすべてを明かす。
 封印されていた過去、番妃の本質、そして未来の統治の在り方。

 王族、貴族、軍、そして魔術院――すべての権力の中心が揃う中で、真実を告げる試練が始まる。


 「セレナ」


 アグレイスが彼女の手を取る。
 その掌は、かつてよりもずっと力強く、温かかった。


 「君と出会い、君を選んだあの日から、僕の未来は君と共にあった。
 今日、それを国に示す。君がこの国の“未来”だと」


 セレナの胸が、小さく震える。
 

 (私がこの国の未来――…)


 まだ、怖さはある。
 だけどその言葉に込められた信頼と尊重が、彼女の内側に勇気を灯す。


 「私も、信じてる。あなたとなら、この国を変えられるって」


 薄紅に染まる空が、ふたりの姿を金色に包んだ。