蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 はっとして目を覚ますと、隣にはアグレイスがいた。

 彼は床に正座するように座り、静かにセレナを見つめていた。


「……夢を、見ていました」

「覚えているか?」

「……少しだけ。私、子どものころ……誰にも必要とされていないって、ずっと思っていた」

「だが、必要とされることよりも、大切なのは……必要と“した”ことだ」

「……?」

「そなたは、誰かに気づいてほしいと、強く願っていた。だから、わたしは来た。呼ばれたのだ」


 その言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。


「じゃあ……あのとき、傍にいてくれたのは……あなた?」


 アグレイスはゆっくりと頷いた。


「そなたは覚えていなかった。けれど、わたしは忘れなかった。何百年でも……おまえの声だけを探し続けた」


 セレナの喉が詰まり、何も言えなくなった。

 胸がいっぱいで、言葉にならない。
 ただ、ぽろりと、涙が頬をつたった。