「……ここは、時間の流れが違う」 アグレイスがそう呟いたとき、霧の向こうから浮かび上がるように、一つの建造物が現れた。 それは神殿に似ていた。だが、王国に伝わるいかなる宗教建築とも異なる気配を纏っていた。 「……感じる。心の奥が、何かを思い出そうとしている……」 セレナは無意識に胸元を押さえる。そこには彼女の誕生とともに与えられた、唯一無二の魔法刻印が刻まれていた。 神殿の扉に触れると、その模様が淡く共鳴し、扉が音もなく開いた。