「ここが……“黎明の境界”……!」
セレナの声が震える。
その震えは恐怖からではなかった。自分の内にある何かが、ここを知っているような、そんな感覚だった。
門の前で、アグレイスが言う。
「この先には、王族と妃以外は立ち入れないとされている。……セレナ、覚悟はあるか?」
セレナはゆっくりと頷いた。
「……うん。あなたとなら、どこまでも行ける。
どんな真実でも受け止める覚悟は、できてる」
アグレイスは微笑み、彼女の手をそっと握る。
その瞬間、門が――音もなく、ゆっくりと開き始めた。
白く霞む霧の向こう、光と影のあいだに、彼らは足を踏み入れた。
白い霧が視界を覆うなか、セレナとアグレイスはゆっくりと石畳の道を進んでいた。
歩を進めるごとに、足元に刻まれた紋章が淡く光り、彼らの存在を歓迎するように反応を返す。



