『過去を受け入れ、選択を下した者たちよ。その心に偽りはない。ならば、最後の問いを授けよう』
セレナとアグレイスは、互いの手を強く握った。
『“未来を変える力”を前にしても、今の世界を信じ、選び取れるか?
愛を選び、犠牲を受け入れる覚悟があるか?』
セレナは深く息を吸った。そして迷いなく、応えた。
「はい。私は、過去をやり直すより、今を生きることを選びます。あなたと共に」
アグレイスも頷く。
「この手で誰かを救うことはできなくても、守ることはできる。そのために、俺は生きる」
石碑が静かに光り、そして崩れ落ちた。
その欠片は光となって舞い、セレナの胸元に吸い込まれていく。
「これは……?」
彼女の体に、温かく、透明な力が満ちていく。扉の継承は――完了したのだった。
『選ばれし継承者よ。あなたの想いを、未来へ紡ぎなさい』
そしてその時、光の中から静かに立ち現れた一人の女性――セレナにそっくりな、かつての継承者が、微笑みながら囁いた。



