──時は数百年前。
石の間には、今と同じ紋章があり、その前に立つのは白銀の髪の女性。そして、その傍らには……
「……あれは、私……?」
記憶の中のセレナによく似た少女。だがその瞳は、今の彼女よりもはるかに強く、どこか哀しげだった。
『“銀月の継承者”は、扉を守りし者であり、開く者でもある』
過去の声が、彼女の中に重なっていく。
『この力は希望でもあり、破滅の鍵にもなる。選べ、セレナ。
愛する者と共に歩む未来を望むか――それとも、世界を変える力を求めるか』
「そんなの、選べない……っ!」
彼女の声が木霊する。その瞬間、幻は弾け、現実の礼拝堂に引き戻された。



