「これは……!」
「わからない。でも、これが私の中にある“何か”。
隠して生きるんじゃなくて、受け入れて向き合いたいの。あなたと――一緒に」
光が静かにおさまり、セレナの体からやさしい光の余韻だけが残った。
まるで彼女の存在が、夜の帳をほんの少しだけ照らしているかのように。
アグレイスは、彼女の手をしっかりと握る。
「なら、これが俺たちの始まりだ。
血に逆らうのでも、従うのでもない。共に、歩む選択をしよう」
セレナは強く頷いた。
「ええ。恐れずに、私の力も、過去も、全部を受け入れる。あなたと共に未来へ進むために」
その言葉を交わした瞬間。彼らの前に、月が静かに雲間から現れた。
真円に輝く月光がふたりを照らし、夜の静寂に一つの誓いが刻まれる。
その光景を、王宮の高い塔の影からひとりの黒衣の人物が見下ろしていた。



