蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 「俺たちの絆は、血に縛られるものじゃない。
 むしろ、選び取ったからこそ、意味があるんだ」


 彼女は涙をこらえながら、強く頷いた。
 ふたりの間に流れる空気は、以前よりも深く、静かな温度を帯びていた。

 そしてセレナは、彼にそっと問いかけた。


 「もし、私の中の血が何かを呼び起こし、王宮に混乱をもたらすようなことになったら……どうする?」


 その問いは、彼を試すようでもあり、自らへの戒めでもあった。

 だがアグレイスは迷わず言った。


 「その時は、俺が止める。だが同時に、守るのも俺の役目だ。
 君の力が何であれ、それを“恐れ”に変えないように共に在る。
 それが、俺の誓いだよ」


 その強さに、セレナは再び心を揺さぶられた。
 アグレイスの言葉は、ただの慰めではなかった。
 どんな試練が来ようと、逃げずに支え合おうとする、真の覚悟だった。
 その時、セレナの胸の奥で、微かな熱が灯ったような気がした。