蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜



 「っ……!」


 セレナは息を呑んで目を覚ました。

 額には汗が滲み、胸の奥で鼓動が荒ぶっている。
 けれどその中に、どこか“確かに知っている”という感覚があった。

 彼女の中に眠る、“異なる血”の記憶。

 その片鱗が、今ようやく目を覚まし始めたのだ。


 「私の中に……何かが……」


 震える手を腹に添える。
 そこには、新たな命が存在している。


 「この子が……引き金になるかもしれないって、言ってた……」
 

 けれどセレナの瞳には、怯えよりも決意が宿っていた。


 (私は、この命を守る。)


 妃として、番として――そして、ひとりの母として。

 自分の中に流れる“過去”を受け入れる覚悟が、彼女の中でゆっくりと芽吹いていく。