そして、少女は静かに微笑みながらこう告げた。
「私は、あなたの記憶の奥に眠る、“始まりの記憶”よ」
「始まり……?」
「あなたの祖先――“銀月の巫女”の血は、今もあなたの中で生きている。
そして、目覚めの時が近い」
セレナは困惑した。
銀月の巫女。
それはかつて、王家に従うことを拒み、異端として封印された一族の中心的存在。
「でも、私は……この王国の妃でアグレイスさまの番、なのに」
「だからこそ、二つの血が交わろうとしている。
“番”という強制された絆と、“月”という自由な誓い。
あなたが選ばなければ、どちらかが滅ぶ」
その言葉の意味を理解しようとする前に、世界が揺らいだ。



