「王妃様よ、あんたは“番”なんだろう? 獣の血を宿した子を王家に……それが怖い者もいるんだよ」
空気が緊張に包まれた。
セレナは静かにその女性を見つめた。
「……ええ、私は“番”です。人とは異なる宿命を背負いました」
ざわめきが大きくなる中、彼女は声を強めた。
「けれど、それは“人としての心”を捨てることではありません。私は血のつながりではなく、“想い”でこの国を守りたい」
「……想い、だけで?」
「はい。想いは、血よりも深く人を結びます」
その言葉に、誰かが小さく息を呑んだ。
沈黙の中、突然――
「……セレナ様……!」
その声に、セレナははっと顔を上げた。
人混みの中から現れたのは、セレナが幼少期に世話になった、修道院の若き神父――リアムだった。
「リアム……?」



