――数日後。王都の中心に位置する広場。
そこはかつて、民が自由に声を上げる場であり、戦時中には避難民であふれた記憶が残る場所だった。
今、その中心に簡素な壇が組まれ、王妃セレナの姿が現れるという告知が、前日から静かに広がっていた。
「……本当に、ここに立つのですね」
侍女エリナは不安げな面持ちでセレナを見た。
民衆は集まりつつあるが、その目が好意一色ではないことは、誰の目にも明らかだった。
「噂では、妃様が“番”だということ……否定できないと知りながらも、信じようとしない人もいます」
「ええ、覚悟しているわ」
セレナはゆっくりと広場へと歩み出た。
柔らかな陽光が差し込む中、彼女の姿は白いマントに包まれていたが、表情は隠さず、まっすぐ前を見つめていた。



