蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 目を開けると、そこにはアグレイスのまなざしがあった。
 言葉を交わさずとも、セレナにはわかった。


(この人は……ずっと、私を見ていた)


 神でも獣でもない。
 けれど、人よりも深く、自分の心に触れてくる存在。

 セレナは胸を押さえ、震える声で言った。


「私……どうすればいいのかわからない。でも、あなたのこと……嫌じゃない。怖くないの……」

『ならば、それでいい』


 アグレイスの金の瞳が、ほんのわずか、細められた。
 それは――微笑みのようにも感じられた。

 翌朝。
 王宮の聖殿には、重々しい空気が流れていた。

 それは「神獣の番」の選定――
 真に神の器となる者を見極める、由緒ある儀式の始まりだった。