蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜





 夜が更けた王宮のバルコニー。

 セレナとアグレイスは、星の瞬く空を見上げていた。風が二人の衣を揺らし、静かに吹き抜けていく。


 「……今日、君は本当の意味で妃になったな」

 「いいえ。まだまだです。でも、少しだけ……怖さはなくなりました」

 「どうして?」

 「だって、今日私は、自分の意志で選んで、言葉にできたから。……あなたと向き合い、姉さまとも繋がれて……私はひとりじゃないって、心から思えたんです」


 アグレイスは、優しく微笑んで、彼女の肩に手を添えた。


 「君が選んだ道が、僕の道になる。……これからも、ずっと一緒に歩もう」


 その言葉に、セレナは小さくうなずいた。

 彼女の胸に、確かな火が灯っている。

 それは、王妃としての責務ではなく――ひとりの人間として、未来を創るための「覚悟」の火だった。

 そしてその夜、宮廷の裏では一枚の報告書が動いていた。

 それは、辺境で蠢く新たな“影”の動き。
 次なる試練が、ふたりの愛と絆を、さらに深く試そうとしていた。