蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




「私たち……以前に、会ったことがあるのですか?」

『おまえは忘れているだけだ。けれど、わたしは覚えている。ずっと、呼ばれるのを待っていた』


 その響きに、胸の奥が不思議と温かくなった。
 懐かしいような、切ないような……涙がにじむような感覚。

 ふと、アグレイスがその額を彼女の額に触れさせた。


「……!」


 ふわりと、蒼銀の光が広がった。
 世界の音が遠のき、意識が柔らかな深淵に包まれる。

 そこで彼女は――子どものころ、誰にも言えなかった寂しさを、確かに誰かに向けて泣いていた自分の記憶を垣間見た。


(……あれは……私?)


 そして、そのそばに寄り添っていた、銀の獣の気配。