蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜




 「……ご無沙汰しています、セレナ」


 そこに立っていたのは、変わらず端正なドレスをまとい、気品と孤独をまとったリディアだった。

 彼女の瞳は、かつてのように冷たくも厳しくもなかった。ただ、どこか遠くを見るように、静かだった。


 「来てくださって、ありがとう……姉さま」


 セレナは立ち上がり、わずかに頭を下げた。

 その姿に、リディアの瞳がわずかに揺れる。
 今まで妃として距離をとっていた妹が、自らの意志で呼び寄せ、礼を尽くすなど、思いもしなかったのだろう。


 「……何のつもり?」


 その問いに、セレナは微笑んで答えた。


 「ただ……話がしたかったんです。姉妹として。人として」


 少しの沈黙の後、リディアはゆっくりと席についた。


 「姉さまは、王宮の中で孤独だったのではありませんか?」


 いきなりの言葉に、リディアの眉がわずかに動く。


 「なぜ、そう思うの?」

 「私も、今、似た立場にいるからです。……誰にも心を開けない気がして。でも、それを口にすることすら許されない」


 セレナの声には、飾り気がなかった。ただの告白だった。