「どうして……何も言わずに黙っていたの?」
セレナの問いは、どこか責めるようで、でも同時に拠り所を求めるようでもあった。
「僕の言葉は、君の信念を濁してしまうと思った」
アグレイスは迷いなく言う。
「だから君が、自分の意志で立つのを見届けたかった。……でも、本当はずっと心配だった」
彼は、そっと彼女の手に触れる。
「君は強い。でも、無理をしなくていい。頼ってもいい。僕がいる」
その言葉に、セレナの瞳が揺れる。
ようやく、その強さの裏にある優しさが、自分を包もうとしていることに気づいた。
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