蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜





中庭に出ると、アグレイスが大理石の噴水の縁に腰掛けて待っていた。


「やっと来た。ずいぶんと堅い顔をしているな、セレナ」


彼は優しい笑みを浮かべて立ち上がり、彼女の手を取った。


「少し歩こうか。風が気持ちいい」


初夏の風が静かに髪を揺らし、花々が香り立つ庭を二人で歩く。
ふと、セレナの足が止まる。


「……私、ちゃんと妃になれているのかな」


それは、誰にも見せたことのない弱音だった。


「民の声を聞くたびに、私じゃないほうが良かったんじゃないかって……怖くなるの」


アグレイスはその言葉にしばし黙し、そして彼女の正面に立つと、まっすぐにその目を見た。