午後になり、庭園の静かな一角で二人は向かい合って座っていた。
咲き誇る花々の甘い香りと、優しい風がふたりを包む。
アグレイスはセレナの瞳をじっと見つめ、その深い不安を感じ取った。
「何か、悩んでいるのか?」
彼の声は穏やかで、決して責めるものではなかった。
セレナは少し間を置き、ゆっくりと頷いた。
「……ええ、時々怖くなるの。私が本当にここにいていいのか、自信が持てなくて……」
その声は震え、言葉の端々に迷いがあった。
けれど、素直にその思いを伝えられたことに、どこか救われている自分も感じていた。
アグレイスはそっと彼女の手を取り、指先で優しく撫でる。
「君の不安は当然だ。僕も何度も自問したよ。だけど、君がここにいる意味は、僕にとってかけがえのないものなんだ」
その言葉はまるで暖炉の火のように、凍えたセレナの心にじんわりと温もりを灯した。



