蒼銀の花嫁 〜捨てられ姫は神獣の番〜





「……セレナ」


 彼は静かに声をかけ、手を差し伸べた。
 セレナは、その手を迷わず取る。


「よく来てくれたな。ここで、君に見せたいものがある」


 アグレイスが案内したのは、王城の奥深くにある〈瑠璃の間〉。
 煌めく瑠璃色のガラスで覆われた天井はまるで夜空そのものを映し出し、無数の星が降り注ぐようだった。


「ここは、王族と番妃だけが足を踏み入れられる場所。民の目も、宮廷の視線も届かぬ“二人だけの聖域”だ」


 アグレイスの言葉に、セレナは息を呑んだ。
 心臓が高鳴り、胸の奥で何かが弾けるような感覚を覚えた。


「……なんて綺麗なの……まるで星空の下にいるみたい」

「そうだな。今日は、ここで君に誓いを立てたい」


 彼はセレナの手を取り、その掌に自分の手の温もりを伝えた。


「誰の前でもない。宮廷の評価でもない。ただ、私と君だけの誓いだ」


 アグレイスの澄んだ瞳が見つめる。
 その真剣なまなざしに、セレナの頬は自然と紅潮する。