愛したがりやな生徒会長は溺愛したりない。

無事に会議が終わって解散した私達は、会議前に話したデートをする為に学校の最寄り駅から三駅離れた私の最寄り駅前に来ていた。

「瑠璃何したい? カフェでも行く?」

いつもなぎくんは私を尊重してくれる。
デートはまだ数回しか行ってないけど、毎回私が行きたい所へ連れて行ってくれていた。

「なぎくんは行きたい所無いの?」

「俺の行きたい所は瑠璃が行きたい所だよ?」

聞いても毎回この調子。嬉しいけど…
よし! 次の休日デートは華ちゃんに協力してもらってなぎくんが好きそうな場所にするって決めた!

私が黙っているとなぎくんが声を掛けてきた。

「瑠璃?」

「あ、えっとじゃあ本屋寄ってもいい?」

「ん、いいよ」

「ありがとう!」

私達はすぐ近くにあるくまがわ書店に入った。

「何買うの?」

「お母さんに雑誌買ってきてって頼まれたの」

「どれ?」

「えっとねファッション雑誌で……あ、これだ」

中腰で一緒に探していたなぎくんと顔を見合わせ合う。

「あって良かったね」

「うん! ありがとう! お会計行ってくるね」

「うん、俺は参考書コーナー見てるね」

「はーい!」

私は早歩きでレジに向かった。
その時、レジへの曲がり角で誰かとぶつかってしまった。

「キャッ!」

「すみません!大丈夫ですか?」

ぶつかった反動で転んでしまった女性に手を差し出す。

「大丈夫、ありがとう」

うわぁすごい美女。
笑みを浮かべ、自力で立ち上がる女性につい、見惚れてしまう。
ストレートの黒髪は腰まであるけどツヤツヤ。つり目で唇はぽってりしていて…これが大人の色気ってやつ?
しかもモデル並みに小顔。

「ごめんなさい…あ、本が」

床に落ちている本を拾い、美女に手渡そうと差し出す。
見えてしまった本の表紙をみて、少し驚いた。

「あ、どうもありがとう」

「いえ、元は私のせいですし…」

「気にしないで、じゃあわたくしはこれで」

会釈して去っていく美女を見送りながら本の表紙を思い出す。

〈これでイチコロ!本命を落とす方法!〉〈あなたもカレカノに。〜私がカレシと付き合う為にした11のこと〜〉

美女でも落とせない男の子ってどんな人なんだろ…。
あんな人、女の私でも見惚れちゃうのに。


―――この時の私は、いつまでもなぎくんと一緒にいられるとは限らない事に気づいてなかった。