「周様。本日より周様付きとなりました新人の安藤寧色でございます。まだまだ至らぬ点が多いですが、何とぞよろしくお願いいたします」
わたしを紹介して頭を下げた執事長に続き、わたしも頭を下げる。
「よろしくお願いいたします」
周様に会うのはあの時以来で、ちょっとドキドキ。
「ああ、よろしく」
顔をあげると、わたしを見る周様は笑顔じゃないけど、冷たい目でもない。
うん、これからだよね。
よーし、頑張ろう。
「失礼します、先生をお連れしました」
「おはようございます」
「ああ、今日もよろしく頼む」
先生を案内し終えた律果先輩は、お茶の準備に取り掛かる。
ここは、周様の学習室。
壁を覆う棚には分厚い本とトロフィーが詰まっており、窓際には社長が使う様な分厚い木の机、手前には向かい合って座れるソファセットが有る。
周様はこれから、家庭教師の先生に授業を受けるので窓際の机に座り、先生は横に立つらしい。
そして私たち使用人は、部屋の隅で控えておく。
やることのないわたしはもう、控えている。
立ってるだけなの、暇だなぁ。
律果先輩を見ると紅茶を入れているけど、格好いい。
わたしもいつか、周様に紅茶を出せる様になりたいな。
「失礼します」
律果先輩が紅茶を出すと、授業が始まった。
きょろきょろしない様に言われているから、周様の授業を聞く事しかできないけど難しい。
先生も周様も、何を言っているか全然分からなくて、同い年が受ける授業だとは思えない。
私が控える位置からは周様の顔が見えるから、そのかっこいい顔を見て、時間を潰した。



