向き合って、その顔の美しさを正面から受け止める。
「言いたい事があったんだ」
御影君の、声も雰囲気もとても優しい。
その優しさのまま、泣きそうな顔して微笑んだ。
「ありがとう」
突然の言葉に、わたしは固まる。
な、なんのこと?
「安藤さん、ううん、寧色ちゃん。キミは憶えてないみたいだけど、僕らは昔、会った事があるんだよ」
「えっ⁉︎」
こんな美しい人と、いつ会った?
それが、わたしに優しい正体?
「やっぱり、忘れちゃっているんだね。僕は、一生忘れられないのに」
寂しそうに笑うから、思いきり考える。
わたしはずっと村に居て、村の子以外とあまり遊んだ記憶はないから、えーと、えーと。
頭に手を当て必死に考えるわたしに、御影くんはくすりと笑った。
「別にいいんだ、忘れられていたって。僕が忘れられないだけだから。あの日、僕は川で溺れ、寧色ちゃんが助けてくれた。あの時のことを」
わたしを見つめるその目は、熱っぽい。
川……助けた……
「あ。もしかして……いっちゃん!」
その記憶から該当する名前を出すと、パッと花が開いたように笑う。
「そうだよ。思い出してくれた?」



