貴子さん達が離れても、周様は、相変わらずずっと囲まれている。
わたし達は暇なので、パーティーに用意された、一口で食べられるような小さな料理を食べる。
「これ美味しい。律果くん家でも作れない?」
「あと三回くらい食べたら作れるかも」
「じゃあ、食べて」
わたし達はそんな感じで、色気より食い気って感じでいるけど、パーティーの進行が進むことで、その空気も変わる。
「さあ、ここでダンスタイムです。中央で、ぜひ踊りください」
進行役のアナウンスで、楽器の生演奏が始まり、中央に人が集まり始める。
「ダンスタイムとか有ったんだ」
ダンスは二人で踊るやつらしく、周様、さっきより囲まれているな。
「スケジュール確認しときなよ」
「ごめん、ごめん。ダンスって、みんな踊れるものなの?」
「ノーブルは、社交ダンスの授業有るよ。寧色も踊ってきたら?」
「わたしは良いよ、踊り方分らないし。そっちこそ、誘って欲しそうに見ている人居るよ」
わたしが見る先には、この前、律果くんをパーティーに誘っていた人がいる。
今はドリンクを飲んでいるけど、ちらちらと律果くんを見ている。
可愛い格好しているなぁ。
律果くんも気づいているだろうけど、そちらを見ない。
「オレは行く気ないよ」
「おっと」
その時、ジュースの配膳をしていた人が、彼女にぶつかり、お盆に乗っていたグラスが倒れる。
律果くんが、振り向いた。
あのままだと、あの子のドレスにジュースがこぼれてしまいそうだ。
それは、よくないな。
わたしが、えいっ! と思うと、グラスは変な方向へ飛んで行った。
二人は、不思議そうにグラスを見つめている。
「寧色、今使った?」
一部始終を見ていた律果くんに聞かれる。
その目は、バレたらどうするの? って言っている。
「うん、良い思い出でいてほしいからさ」
咄嗟にだけど、うまく使えてよかった。
自己満足なくらいが、わたしにはあっているのかな。



