メイドさんは、守りたい!


周様に話しかけるのは、どれも男子生徒だった。


和やかに会話しているけど、不思議、なんで女の子は話しかけないの?


わたしは、側で静かに控えながら考えていると、声をかけられる。


「どうぞ」


声をかけてきたのは、給仕係で、差し出されたお盆の上には、ジュースが入ったグラスがいくつも載っていた。


これって、わたしももらって良いのかな。

わたし、使用人としての招待なんだけど……


どうするべきか困っていると、

「ほら」

律果くんがお盆からグラスを取り、一つ渡してくれた。

そして、こそっと教えてくれる。


「これは、乾杯用だから」


そうなんだ。


周りを見ると、周様も、他の主人っぽい人も、使用人ぽい人、みんながグラスを持っていた。

なら、わたしももらって大丈夫だ。


グラスを手にした後も、周様の側で待っていると、会話の邪魔にならない音量で流れていた音楽が止まる。


なにかあった?


慌てて辺りを見るが、誰も焦った様子はない。


そして、パチンパチンと音を立ててホールが暗くなっていくが、みんな変わらない様子だった。

会場の電気がほとんど消えて、真っ暗になった時、スポットライトが、ステージに立つ男性を照す。


「皆様、このたびはお集まりいただきありがとうございます」


あ、挨拶をするのか。


挨拶を始めたあの人は、高等部の人でチューリップの会の会長らしい。


イケメンだなぁ。


会長さんは慣れているのか手際よく挨拶を終えると、グラスを掲げた。


「それでは、みなさま! 乾杯」

「乾杯」


わたし達もグラスを掲げ、みんなグラスに口をつける。


あ、これ、リンゴジュースだ。美味しい。