「はなびは、メイドとして貴子さんとどんな感じなの?」
「どんな感じなのとは?」
次の授業は理科だから、移動が必要。
そう言う時は、いつもはなびと一緒に行くけど、今日のわたしには、聞きたいことがあった。
「わたしからすると、二人は友達だなって感じだけど、メイドでしょ? 心構え、聞きたいなーって」
「えー、本音は〜?」
普通に答えたのに、はなびは疑う目で見てくる。
と言っても、嫌な雰囲気じゃなくて、ニヤニヤとからかう雰囲気だ。
「本音だよ。でも、ちょっと……周様との関係に悩んでいる? みたいな?」
「嫌になった?」
「そんなまさか」
はなびは、ニヤニヤしていた雰囲気を増す。
「じゃあ、好きになった?」
「違うよー。ただ、主人とどんな関係でいるのが良いのかなって……」
本音を言えば、友達になりたいと思っているけど、いくらはなびでも、それを言ってしまっていいのか分からなかった。
周様は主人だ。
メイドにならなきゃ、ぜったい関わらないようなお金持ちの男の子。
そんな男の子と友達になりたいって、言っていいのかな。
「なんだ。今日、いつもより思い悩んだ雰囲気だし、宮条くんのこと見てるから、好きになっちゃったのかと」
「違うよ……」
はなびにそう思われているってことは、クラスの他の子にも思われている可能性もある。
気をつけなきゃな。周様、モテるんだし。
苦い顔しているわたしに、はなびは笑って、思い返すような雰囲気で語り出す。
「わたしのとこはねぇ、元々が友達だったの」
いつも元気なはなびにしては、珍しい。
しっとりした雰囲気だ。
「元々って、メイドになる前?」
「そうそう。わたし、この学校に入れられないくらいだけど、親が会社経営していてね、そこの繋がりで貴子と知り合ったの」
「そうなんだ」
「うん、家柄は違ったけど、貴子は友達として付き合ってくれてね。親の会社が潰れた後は、メイドとして雇ってくれたの」
親の会社が潰れた話をしているとは思えないくらい、はなびは嬉しそうにしている。
「本当は、メイドになったら、ううん最初から友達になれないような距離だけど、わたし達はずっと、友達なんだ」
「いいな、そんな関係」
「何に悩んでいるかは知らないけど、寧色は、寧色で、ゆっくり考えていけば良いんだよ」



