外商の方に先導され、百貨店の応接室から玄関に向かう。
その道すがらの廊下には、ポスターがいくつか貼ってあって、その中の一つを見て、思わず声に出た。
「エスパーの佐藤の超能力講座?」
本物だとは思わないけど、超能力って言葉が目に付いた。
周様は、足を止めて振り返った。
「お前、信じているのか?」
信じられなさそうな周様の声に、わたしは慌てて手を振った。
「いえ、まさか全然! 東京にはこんな催しがあるんだなって!」
周様は、ほっとしたように息をつくが、苦々しい顔でチラシを見る。
「お前がこんなものを信じる馬鹿じゃなくて良かった」
周様は意図してないんだけど、わたしまで馬鹿って言われている気がする。
この人は本物じゃないと思うけど、超能力は本当にあるんだけどなぁ。
本当は良くないんだけど、あの反応が気になって、歩き出した周様に話しかける。
「周様は、超能力が嫌いなんですか?」
周様は、歩きながら答えてくれる。
「ああ、嫌いだ」
そっかぁ。
ハッキリ言われ、ちょっと傷つく。
「それって、本物でも嫌いですか? 嘘ついている人とかじゃなくて」
「嫌いだ」
そっかぁ。
周様は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「それは、何故なのか聞いていいですか?」
周様は、ピタッと足を止める。
「それは……」
何か口にしようとして、結局何も言わずに歩き出した。
いいたくないんだ。
まぁ、周様なりに理由はあるんだろう。
それでも、そっか、超能力嫌いなんだ。
綺麗なドレスを手にすることができたけど、落ち込んだ気分で帰る。



