パーティー用のドレスは、百貨店の店舗で選ぶと聞いたから、百貨店に着いた時、そのまま店舗に行くかと思ったら、百貨店の中の応接室みたいな所に通される。
外商という、お金持ちを相手に百貨店の人が家に来てくれたりするサービスがあるのだが、その一環で、外商用の応接室もあるのだ。
「この前、誘拐されたばっかりだから、お願いしたんだよ」
と、律果くんが教えてくれた。
確かに今日は、わたしたち以外にも、スーツを着た、見るからにボディーガードって感じの人も複数人いる。
こんなに人を動かすことになるなら、周様が来るの断れば良かったな。
応接室とは、別の部屋で体のサイズなどを、ドレスのお店の人に測られ、応接室でお茶をいただき待っていると、お店の人が何十着かのドレスを持ってきてくれる。
様々な色、形のドレスたち。
わたしには、そのどれもがキラキラと輝いて見えた。
「安藤様のサイズで、現在店舗にあるものを持ってまいりました。ここにはない商品もカタログに有りますので、いいなと思ったものがございましたら、おっしゃってください。別店舗から取り寄せます」
店員さんは、わたしよりも周様を見て説明している。
誰がお金持っているのか、分かっているんだな。
周様は、優雅に紅茶を飲む。
その顔からは、感情が見えない。
「好きに選んで良いぞ」
そんな周様の様子を見て、店員さんはわたしに向き合った。
「ぜひ手に取って、鏡の前で合わせたりして、ご確認ください」
「はい」
移動式のハンガーラックにかかったドレスを見て、時には鏡の前で合わせてみる。
う〜、どれも可愛い!
どのドレスも素敵だから、これ一生悩んじゃうな。
店員さんが、そっと話しかけてくる。
「好きな色や形はありますか?」
「そうですね「丈に制限はないが、ピンク色の入った、もしくはピンク色のアイテムが合わせられるようにしてくれ」
わたしが答える前に、周様が被せた。
「かしこまりました」
店員さんによって、何個かのドレスがハブられた。
あ、あれ、綺麗だったのに。
ちょっと不満で、周様を見るが、周様はわたしを見ない。
ピンク色って、制服のリボンの色だけど、何か決まりあったのかな。



