「パーティーで着るドレスに関しては、この家にある使用人用の貸衣装を当たれ。キミのサイズもある筈だ」
「そのことに関してなのですが」
今まで静かに口を控えていた律果くんが、口を挟んだ。
周様は、眉をひそめて律果くんを見た。
「執事長を通して、ご隠居様からいくらか預かっています。急な事だから既製品にはなるが、初めてのパーティー、ぜひ自分だけのドレスで出席を。と」
え、曾お爺さまが⁉︎
使用人になってから全然お喋りとか出来てないけど、ずっと気にかけていてくれたんだ。
じんわりと胸があったかくなる。
「明日の午後、安藤に休暇をもらえませんか? 女性使用人と共に、ドレスを選びに行ってもらいます」
律果くんの提案に、周様は冷めた目で答えた。
「それなら、俺も行く」
え? なんで?
律果くんの言い方的には、周様はいなくても良さそうな雰囲気だけど……
「周様がですが?」
律果くんも不思議そうに尋ねる。
言ったことは間違いじゃなかったのか、周様は確かに頷く。
「ああ、予定は入っていなかっただろう」
その言葉には、絶対だという重みを感じる。
「そうですが……分りました。それでは、話を通しておきます」
周様は、満足そうに頷くと、わたしを見た。
「似合わないドレスを選ばないか見てやる」
冷たい目で少しだけ笑って言う姿は、初めて会った時のことを思い出した。



