わたしが、決意を固めているなかった、周様は律果くんに向き合っていた。


「律果もありがとう。助けてくれて」


言われていると思っていなかったのか、感謝されるのに照れているのか、律果くんは恥ずかしそうに目線を逸らす。


「別に、執事なんで」


いつもより、ちょっと態度も悪い。

でも、それは執事じゃない時の律果くんだ。


「でも、オレがいないと心配なので、これからも側に居ますよ」


律果くんの言葉に、周様は笑った。


「助かる」


分かりにくいけど、わたしには嬉しそうに見えた。


これって、二人は仲直りしたのかな?


それなら、まぁ良かった。


これで、わたしも試験に集中できるな。

試験……


試験のことを考えたら、不安を感じた。


「やばいかも」


小声で呟いたと思っていたけど、聞こえていたらしい。


「何がだ?」


周様に尋ねられ、言いづらいけど答えた。


「昨日、周様に教えてもらった試験の事を、忘れたかもしれないです」

「あんなにも、教えたのにか?」


驚いた顔の周様に、わたしは頷く。


「なんか、今思い返そうとしたら、あれなんだっけってなっちゃいました」


てへっと笑うと、周様は、真面目な顔して頷いた。


「そうか。じゃあ、今から勉強するか」


冗談?

いや、周様はタブレットを取り出している。


「え、嫌です、無理です!」


手を横に振るが、周様は止まらない。


「律果くんも止めて!」


助けを求めるけど、


「頑張ってね」


無慈悲な一言がかけられた。