「なに、人の事、踏んでるんだよ!」
律果くん!?
服も髪も乱れた様子の律果くんは、力任せにリーダーを蹴飛ばした。
「おい! 止めろ!」
慌てた誘拐犯達は律果くんに向かうが、律果くんは殴る、蹴る、投げ飛ばすの大暴れ。
律果くん、すごい。
まさかの単身突入!?
誘拐犯達の半分くらいを倒すけど、まだ足りないみたい。
「おい、そんなに暴れて、こいつがどうなってもいいのかよ」
周様にナイフが向けられて、律果くんが動けなくなり、囲まれる。
「くっ、誰か!」
律果くんが、悔しそうに呼んだ。
誰かって、律果くんは言ったけど、今、二人を助けられるのはわたししか居ない。
だから、わたしがサイコキネシスを使うしかないんだ!
動いて、動いて! 周様を助けて!
──ドン!
全体が揺れた。
何か一つじゃない。
この倉庫、全てが揺れている。
「地震か!?」
「くそ、こんな時に!」
みんなは慌てたように、廃倉庫の落ちてくるものから、身を守ろうと動く。
周様に向けられていた、ナイフが離れた。
その瞬間を狙って、律果くんがナイフを蹴り飛ばす。
「あっ、おい!」
律果くんはわたしを抱きかかえ、周様の隣に置くと、わたし達を守るように立った。
まだ地面は揺れている。
ガラガラ、物は崩れおちれていく。
「おい、地震長くねぇか!?」
半分ほどが倒れている誘拐犯達は、どうしようかと焦っている。
その時、サイレンが聞こえて来た。
警察だ、良かった。
ほっと、安心をした。



