監視カメラを見て、揺れろ、揺れろと念じる。


固いのか、監視カメラは中々動かない。


揺れろ、ネジ取れろ!


サイコキネシスってのは、わたしが手で動かせないようなものも動かせるのだが、何故か今回は全然できない。


おかしいな。


不思議に思って、監視カメラの死角にありそうな、落ちている雑巾に向って念じる。


動けー


不思議な事に動かない。


動けー。


やっぱり動かない。


えっ! あれ、もしかして、わたし今、サイコキネシス使えないの⁉︎


だらっと、体に汗が出てくる。


なんで! なんで! どうして! どうしよう?

今までそんなこと一度もなかったのに、使いたい時はいつだって使えたのに、何で今⁉︎


「ごめんなさい、ごめんなさい、周様」


パニックで、頭がぐるぐるして、胸がぐにゃぐにゃして、何も考えられない。


周様の方を向き、寝転んだ状態のまま、頭を下げる。


「おい、何故泣いている!」


あれ、わたし泣いているの?


そういえば、さっきより目が見えない。

でも、そんくらいどうしようって思っている。


「うゔっ、ごめんなさい」


わたしがメイドをやっているのは、こういうときの為なのに、肝心な時に役に立たないなんて……


「大丈夫だから、落ち着け! 俺がいる。俺が守ってやる!」


怖がっていると思ったのか、周様は頼もしい声で告げた。


「周様ぁ」


わたしが、周様を守らなきゃ駄目なのに、それに縋りたくなる。