午前中、自習室で勉強を見てもらう。
「ここまでは覚えられたか?」
「……たぶん」
覚えれたって言わなきゃいけないんだろうけど、嘘つくのもよくなくてこんな返事になる。
「はぁ」
周様は深くため息をついた。
「まぁ、いい。また午後にやる」
「お手数おかけします」
「安藤、昼の予定は覚えているか?」
「え、ええっと」
なんか予定有ったっけ?
何か言われたはずだけど、勉強を詰め込みすぎて、忘れてしまった。
返事をしないでいると、周様が教えてくれる。
「草薙とこの家で食べる予定がある。聞いて無かったか?」
「聞いてはいます。忘れていました」
そうだ、そうだ。
貴子さんが、周様のお母様にご用があって、この家に来る。
だから、お昼に二人が一緒に食べる予定だったけど、お母様がお昼にご用が出来てしまったので、代わりに二人がお昼を一緒に食べるんだ。
「俺の予定は、しっかりと覚えておけ」
「はい」
返事をしながら、あることが気になる。
二人がご飯食べいる間、わたしってどうすればいいんだろう。
こういうとき、律果くんがいたら、すぐ聞けるんだけどな。
周様は、先ほどよりフォーマルな格好に着替えた後、食堂に入る。
食堂では先に、貴子さんが座っていた。
はなびは、居ないみたい。
「待たせたか?」
「いいえ、大丈夫よ。お邪魔しているわ」
貴子さんの向かいに周様は座る。
「あら、寧色さん。ごきげんよう」
貴子さんはわたしに挨拶をしてくれるので、頭を下げる。
「いらっしゃいませ」
「宮条くんってば、こんな日まで、仕えさせておくのね」
「こんな日とは、なんだ」
「もうすぐ試験でしょう。大丈夫なの?」
「その分、俺が勉強を見る」
「いい主人ね。私は、勉強しなさいって置いてきちゃった」
「キミのメイドは勉強が苦手なのか?」
「少しだけね」
周様と貴子さんは、和やかに会話している。
女の子、というか、わたしと律果くん以外と会話しているのをほぼ見てないけど、こんな感じなんだ。
クールだけど、会話は成立している。
わたしは、わたしと貴子さんがお話する中という事で、少し顔を見せにきただけなので、二人がご飯を食べ始める前には退席した。
美男美女で、お似合いの雰囲気だったな。



