今日は、土曜日。

だけど、まさかわたし一人で、周様のお世話になるとは。

昨日、少し休むと言っていた律果くんは、本日休みを取っている。


試験前で家から出ることはないし、わたしの仕事って、周様の側に控えることで、清掃や料理をする事はないけど、不安だなぁ。



その不安は的中する。


「安藤」

「はい」

「紅茶がまずい」

「すみません」

「どうやったら、こうなるんだ」


初めてわたしが紅茶を入れたけど、この反応。

毎日練習していたけど、周様に出すにはまだまだだった。


「この本を探してきてくれ」

「はい。ただいま」


「この花は、取り替えたか?」

「すみません、まだです」


「今日は暑いな」

「温度を下げますね」
 

右へ左へ、周様に言われてから、慌てて行動する。


律果くんなら、言われる前にやっているんだろうなぁ。


「お茶のおかわりは?」

「すみません。今出します!」
 

紅茶を周様に出す。


「冷めている」

「すみません」


うう、律果くんと違って、全然、完璧に出来ない!

たった少しの朝の時間の間にこんなに注意されるなんて……


「この用事が終わったら、勉強を見るから、用意しておけ」

「はい」


そうだ、勉強もあるんだ。

やらなきゃいけないことが、いっぱいだよ。