「パーティー中に俺の側に控えるのが居なくなるのを心配しているのか? そのくらい、安藤に任せておけばいいだろ」


周様は、強引に話を進める。

周様は行ってほしいのかな?


「行ってこい、俺が返事をしておいてやる。安藤、返事用の紙を持ってこい」


わたしはカップを皿に置き、立ちあがろうとした時机に──バン!
と音を立てて手が置かれた。


「余計なことしないでくれます?」


え、律果くん?


いつもと違う、雰囲気の彼に驚いた。

律果くん、わたしに対してはともかく、周様の前で声を荒げることも、無礼な態度をとることもないのに。


「いらないって、言ってるでしょ」


律果くんの周様を見る目は、鋭い。


「そんなに嫌がるとは、驚いたな」


そう言った周様もクールだか、いつもより感情がある気がする。


「俺の気遣いは無駄だったか?」

「ええ」

「無下にするとは、お前らしくない」


テンポの速い、互いしか見ていない会話に口を挟めないでいると、


「周様の方が、貴方らしくないですよ」


その言葉で、空気が変わった気がした。


「それは、どういう意味だ?」


周様の声は、一段と低くなり。


「お分かりになられていないので?」


律果くんは、目は笑っていない状態で笑う。


やばいやばい、二人の目の間に、バチバチと火花が立っているよ、これ!

なんで、一瞬で険悪になっているの!?


決着は、静かについた。


「少し、お休みをいただきます」

「ああ、ゆっくり休め」


律果くんは、振り返ることなく、ドアへ向かう。

周様は、興味をなくしたように視線を外す。


訳もわからず、喧嘩が始まり、訳もわからず、決着がついた。


えー、どうしちゃったの?