周様、大丈夫かな。

テストの採点が終わり周様も休憩に入ったんだけど、わたしのテストをずっと見ているかと思えば、わたしを見ては、驚きと哀れみの目で見られる。

こんなことも分からないのかって、言っているようだ。

完全に頭を抱えちゃっているな。


「周様、お茶美味しいですよ。少し、目を離したらどうですか?」

「キミのせいで悩まされているんだが」


じとっとした目で見られる。


「キミがここまで酷いと知らなければ、こんなにも悩まなかった」


厳しいなぁ。

でも、周様のメイドなんだから、周様以外にはこう言われないように頑張らなきゃ。


「周様、お茶を」

「ああ」


周様は、律果くんに紅茶を差し出されると、受け取り一口飲む。

その顔からは、先ほどまで眉間に寄せて出来たシワがなくなっている。


やっぱ、律果くんのお茶は美味しいよね。


気が緩んでいるのか、気分転換をしたいのか、珍しいことに周様は普段全然しないおしゃべりを始めた。


「そういえば、律果、誘いに乗らないのか?」

「何がでしょうか?」

「パーティーに誘われているんだろう?」

「ええ」


律果くんは、微笑んで頷きつつも、一瞬鋭い目でこっちを見た。

慌てて、首を横にふる。


見られたのは、偶然だよ。

話していないよ。


「いかないのか?」

「周様が出席なさるので、当日は周様の側に控えようと思っております」


へー、周様出席するんだ。


「いけばいい。行きたいだろ?」

「いえ、行きたい気持ちはありません」

「強がらなくていいのに」


周様は、ため息をつく。


あれ、強がっているのかな? 

周様の前じゃない昨日だって行く気はなさそうだったけど。

でも、はなびみたいに使用人として気を遣っている可能性もあるのか。

ううーん、どっちか分かんないな。