「あの、嗣永くん」


図書館から教室に戻ろうとした時、人通りの少ない廊下で律果くんが女の子に声を掛けられているのを目撃する。


「昨日お手紙出したけど、お手紙だけじゃよくないかなって思って。私、柊睦美です! 一緒にパーティーに出てくれませんか」


えー、すごい! 直接アタックされている。


律果くん、昨日は行く気なさそうだったけど、これは流石に心変わるのでは?


「覗き見か? 趣味が悪いぞ」


ひゃっ!


どう返事するかと思っていたら、後ろから声をかけられて、驚いた。


「ごめんなさい。周様」


振り向いて、頭を下げる。


「品位を下げるような事をするな」

「すみません」


周様は、わたしが見ていた律果くんに目をやる。


「律果、パーティーに誘われているのか」

「そう。今、お返事するところなんです」


ウキウキした気持ちで、わたしも律果くんを見る。


「すみません」


「あら、断っていますね」


気持ちは変わらないかぁ。


「そうみたいだな」


周様は、興味深そうに二人を見ていた。