「安藤。赤点は取る可能性があるか?」


国蘭双学では、平均点の半分以下だと、赤点になり、補習や追試があるらしい。


「もしかしたら……」


可能性はある。

前の学校では、四位だったんだよね……五人中。

最下位の一人は、だいぶ勉強が苦手で、わたしは普通に勉強ができないってレベルだった。


「そう難しくないのだが、そのレベルか。俺の使用人として、情けない事をするな」

「はい。しっかり勉強して、本番ではいい結果を出します」


まっすぐ目を見て答えたのに、首を振られた。


「不安だな」


周様、わたしの事、どう思っているんだろう。

いや、実際勉強は苦手だけど。


周様は、その端正な顔立ちでじっとわたしを見る。

綺麗すぎて、真顔で見つめられると怖い。


何言われるのかな。

勉強できなきゃ、使用人としてクビとか?

それは、嫌だな。


周様は、口を開く。


「俺が勉強を見よう」

「えっ、いいんですか?」


予想外の話に驚いた。


「ああ」

「ありがとうございます」


やったー。

正直、誰かに教えてもらいたかったから、すごく助かる。


周様、当たり全然強くないし、嫌われているようなこともないし、律果くんの勘違いかな。